『伝える料理人』

堀田 裕介

料理開拓人

ー食べ物に費やす時間を1日の中。1年の中でも、もう少し増やして貰えば人生はもっと豊かになると思います。ー

 

人の生活を豊かにする料理人「堀田 裕介」さん。堀田さんは今までに無い新しい方法で食に対しての重要性や必要性を現代の人々に伝えている。「料理開拓人」と名乗る堀田さんが考える食のあり方を聞いた。

「料理開拓人」

 元々カフェやレストランなどの飲食店でシェフとして働いていた堀田さん。長年飲食店で働くうちにある事に疑問を持つようになったそうです。

堀田 都会(の飲食店)で働いてるとFAXとかメールとかで食材を注文したら、次の日には食材が送られてきます。誰が作ったとか。どこで作ったとか。よくわからないまま届いてそれを使います。窓の無いキッチンで、誰が食べているかもわからない状態で。効率に特化して作り続ける。これが飲食業界のセオリーと言いますか。当たり前になっているんです。僕はこれに疑問を持ちました。

 それからお店を辞めて、各地の生産者の方々のところへ出向いて会いに行きました。どんな土地で作られているか。どんな人が作っているか。そうゆうのを自分なりに体験して吸収し、その上でお客様に料理を食べてもらう。これは都会で生まれてずっと料理してると抜け落ちてしまう部分だと感じたんです。それを意識し始めてからは生産者の方々とも仲良くなり「友達」になりました。そうなると一個一個の食材の大切さとか。それを伝える方法とか。調理の仕方とか。そうゆうところまで自分の中で変化が生まれてきて。「友達が作ったものだからちゃんと伝えなきゃあかんな」とか思うようになりました。それまでは「フードコーディネーター」とか「料理研究家」って名乗ってたんです。でもそうゆう仕事からは一線を置いてきたと思い何か違う肩書きが無いか考えていて「料理開拓人」というのがしっくりきました。まだ誰も名乗ってない肩書きですし。(笑)

「音楽×料理=?」

 様々な取り組みで「食」の入口を広げている堀田さん。

その中でも注目は「EATBEAT!」だ。料理を作る過程で出る様々な調理音。その場で録音した「調理音」を即興で音楽にして、料理も楽しめるイベントだ。

堀田 EATBEAT!は「パーティーの楽しさ」と「音楽の心地よさ」と「お腹いっぱいで帰れる」それにプラスしてこうゆう場所でこんな人たちが食材を作ってるんだ。ってのも勉強できるイベントです。パーティー(イベント)と食べ物というのは中々一体にならないと思うんです。食べ物はパーティーに花を添えるためのものじゃないですか。パーティーの食事って大皿にバンバン乗せてほとんど残されちゃいますよね。「食事」よりも「会話」がメインになるし。音楽聴く場なら、「音楽を聴く」事がメインになりますし。そうゆう状況の時に「食べ物が中心」というか「食べ物がメインのイベント」をやったらもっと人の興味が変わるだろうなって思ったんです。元々音楽が好きで、よくライブとかクラブに行ってました。自分の好きな「音楽」と「食べ物」を合わせたらどうなるんだろう?

というのは昔から思ってました。最初はなにも説明もなく、無言のライブみたいにやってて全然ダメでした。(笑)

でも回数を重ねていくうちにパーティースタイルになって。MCを入れたり、生産者を呼んだりしていきました。それが結構若い人にウケたんですよ。なんか食のことをまじめに伝えてても「食に対してまじめな人」しかこない。興味のある人しかこないんですよ。でもEATBEAT!は「カッコ良さそう」「おもしろそう」という入口で人が来てくれます。来てみたら「食事のこともちゃんとしてるやん」「いろんなこと知れるやん」って。入口を変えるだけで今まで届かなかった人たちにも届くなって思いました。

「食事の重要性」

 EATBEAT! は「食」に対して知るための入口を革新的に広げ、生産者と消費者を繋ぐイベントになった。今後堀田さんには食を通して多くの人に伝えていきたいことがある。

 

堀田 食事ってただ空腹を満たす。エネルギーを満たすだけじゃないんです。食事を一緒に介することで打ち解けたりコミュニケーションのツールになったりとか。そうゆう人と人が人間らしく生活を営む上で「食事の場」とか食べる行為は重要なことだなって思います。特にこの「料理開拓人」っていう仕事をし始めてからは飲食店の従業員やってた頃とは比べものにならないほど重要だと思っています。飲食店って「コストを下げる」とかが先行していて。その延長に「食品偽装問題」だとか、従業員に重労働を課せたりとかの問題が出てると思います。僕は食がもつ「人と人をつなぐもの」をもっといろんな飲食店から発信できればいいなって思っています。本来は食事って楽しいものです。1日3回もあるのに、楽しみを奪ってしまってる社会があるじゃないですか。食べるために働くとはいっても食事を抜いたり、簡易的に食べ物を食べる時間を短くしたり。コンビニで軽く済ますとか。でも週に1回。週末の1食だけは誰かと一緒に「食事」をしよう。そう思って欲しいです。食べ物にまつわる時間を少しでも増やしていけるような取り組みができればいいなと思っています。そしたら1食が豊かになって、食に対する意識が少し変わったりする人もいると思うんで。意識を変える機会をもっと作っていきたいなと思っています。

 

「食べることは生きること。生きることは暮らすこと」

 堀田さんのプロフィールにもあるこの言葉。好きな言葉であり、大切にしているこの言葉の意味を聞いた。

堀田 生きることで、その町に馴染んで暮らしていく。ただ、ぼーっと毎日を過ごすだけじゃ暮らしているとは言わないと思うので。自分の趣味があって、友達がいて、好きな店があって。そうゆう風に暮らしを豊かにするものを自分でもって自分で追求しているか。というのが人生の豊かさに繋がってくと思います。

 

 

 革新的な方法で多くの人に食の重要性を伝える堀田さん。堀田さんが作る料理には「物語」がある。料理人として、食に関わる生産者から消費者まで。その全てを考え、料理をする。堀田さんが作る物語はこれからもたくさんの人に広がるだろう。

(2015.12.10「foodscape!」にて)

取材・ライター 鈴木 隆太

〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜

foodscape!

地元に全国で知り合った生産者の方を紹介する拠点となるようなお店を作ろうということで誕生した「foodscape!」

コンセプトは「farm to bakery」

farmは畑ではなく「生産地」や「食べ物の源流」という意味で。

そこから直接パン屋さんに食材が届けられて町の人に楽しんでもらえる。

そういったコンセプトのお店です。

 

foodscape!

大阪市福島区福島1−4−32 foodscape! bld.
1F. Farm to Bakery / 2F. Atelier Kitchen
[営業時間]8:00-20:00
[定休日]不定休
[TEL]06-6345-1077

アーティスト

  • Wix Facebook page
  • Wix Twitter page

Copyright (C) 2015-2017 Spot Voice All Rights Reserved.

Spot Voiceでは「テーブルクロス」の活動を支援しています。