『感動を与え、価値を作る』

太田 知彦
太田 史彦
ダンサー
「ダンサー」が様々なシーンで活躍できる場所を作る太田兄弟。
ダンスを仕事にしたい人と、ダンスを起用したい企業とをマッチングするサービス「CLAP」
幸せな時間と感動を与える「フラッシュモブ」
NHKでTV出演を果たし、民放でも出演が決定している。
自身もダンサーとして持ち前の「双子」という才能を使って一線で活躍していた。
彼らがなぜ、パフォーマーとしての前線を退きこのような事業をするのか。
そこには大きな夢と描く未来があった。
『幸せを作る仕事』
彼らは色々なところでダンスを「売物」として商売をしている。
活動の中に「フラッシュモブ」がある。
友人の結婚式で行ったのがキッカケとなり、その「感動」の虜になり始めたという。
まだまだ日本の結婚式で「フラッシュモブ」は定番とは言えない。だが、密かにそのブームが来ているのは間違いない。
彼らが作る「フラッシュモブ」について聞いた。
ーフラッシュモブって??
(以下本人)
史彦(以下 史):
僕らが行う「フラッシュモブ」は主に結婚式の参列者に振り(ダンス)を仕込み(教え)ます。
仕掛け人の参列者以外には内緒で結婚式当日にサプライズでダンスを踊ります。
ダンス未経験者にも教えていますよ。
難易度にもよるけど、2時間のレッスンを2回やれば余裕でできます。
それくらいのキャッチーな振り付けにしています。
だから2時間レッスンを2回やれば、どんなに「ダンスできない」って人がいてもだいたい踊れる。
知彦(以下 知):
レッスン前にはゆっくり説明してる解説動画とかも送っているので、ある程度予習してきてくれるんで。
なんとなく動きだけ頭にあれば結構踊れちゃいます!
今までダンスに触れる機会のなかった大人にもこの「フラッシュモブ」というのは良いキッカケを与えているのかもしれない。
知:
フラッシュモブはこれから親子間のコミュニケーションのツールにもなるんですよ。
今ダンスを子供にやらせたいって親が増えています。
習い事ランキングでも年々上がってきてるし。
俺ら若い世代の人たちはフラッシュモブやりたいって人もいるから。
実際身をもって経験すれば将来子供にも共通の話題になると思うんです。
子供に「パパは結婚式で踊ったんだよ~」とか
遠い繋がりかもしれないけど、そうゆうの良くないですか?笑
史:
僕らがリーズナブルにこのサービスを提供できているのはサクラ(参列者ではないダンサー)を使わないで、参加してる人たちに事前に仕込んでるってのがあります。
大手のフラッシュモブの会社に依頼するとかなり高いんですよ。
サクラのダンサーを20人くらい用意して参列者や、店員になりすましてやってるので。
その分コストがかかるので。
でも仕掛けられる側からしたらもちろん感動はするけど「この人誰?」ってなると思うんですよ。笑
知:
僕らはあくまでも「サクラでは無く参列者に仕込む」
ここにこだわっていて、
そうすると感動のレベルが違うんですよね。
参列者も「え〜!あいつが踊ってるじゃん!」とか驚くし、
やっぱメインで仕掛けられた新婦さんとかはもうもちろん友人が踊ってくれてれば感動しますし。
史:
仕掛け人も仕事の合間の休日とかに練習してくれてた。
その努力も裏にあるのがわかるから。
失敗したりとか、踊りが下手とかは本当はどーでもよくて。
みんなで作り上げてるってゆう「プロセス」が1番大事。
楽しそうに踊れば踊る側も楽しいし
「ダンスってこんな楽しいんだ!」
そう思ってもらえれば「自分も結婚式の時にやりたいな」って気持ちがでてくると思いますし。
それに仕掛け人は本来プレゼントを「贈る側」なんだけど、仕掛け人にとってもある意味「プレゼント」になるんですよね。
この時間が記憶として刻まれてるから。
なんか学生時代の行事みたいな一体感がありますからね。
それに自分がフラッシュモブに参加した式は絶対忘れないですし。
毎回本番に立ち会うと「なんて幸せな仕事してるんだろう」って本当に思う。
知:
全く知らない人からの依頼もあるんだけど、打ち合わせで会って、本番まで会ったの1回とかで
でも本番迎えると昔からの知り合いのように感情がはいっちゃうんですよね。笑
『続けていきたい活動』
彼らの活動には全くお金にならない物もあるという。
それは学校や施設での「ダンス教育」だという。
お金にならない仕事。それでも続けていきたいのはこの仕事と語ってくれた。
史:
現在は3校の学校で「ダンス教育」の為のインストラクターを派遣しています。
でもお金にはならないです。
むしろマイナスですよ。笑
知:
だいたいインストラクターには上乗せしてお給料を払ってます。笑
史:
でも本当にやりたいのはこれで、ボランティアでも教えてるんです。
福祉施設でも教えていて
少年院に昔入ってた子とか、親がいなくて、生活をまともに送れなかった人たちがいる施設があって、そこで教えてます。
こうした活動を通じて「ダンスから遠い存在の人たちにも届けたい。」
知:
日本の子供たちにしっかりしたダンス教育の場を作っていきたいんです。
ダンスって体と音楽だけでできて、言葉がなくてもコミュニケーション取れるんですよ。
「同じ音楽一つで国境越えて、笑顔になる」っていうのをもっと広めたい。
教育としてみるとダンスというのはすげーいいと思うんですよね。
スポーツと文化。ちょうどダンスは間にあるから。
どっちの要素もありますし。
史:
今はとりあえず教育のノウハウを貯めようとおもいます。
将来的にはこの活動自体にスポンサーをつけていきたいです。
融資してもらい、でっかいイベント開くとか。
普通は立てないような大きいステージに1回でも良いから立たせてあげて、その景色を見させてあげたいんですよ。


『繋がりへのこだわり』
繋がりを大事にする太田兄弟。
そこには彼ららしい「こだわり」が存在した。
ーこの仕事(活動)に対してのこだわりはなんですか?(以下本人)
史:
僕らがやってるのはサービス業だから。
付加価値の部分。感情とかを大事にしたい。
物を売るわけじゃなく、ダンスを通して人を売る。
だからこそ手は抜けないし、常に本気で取り組む。
それはこだわってるかな。
知:フラッシュモブにしても極力決まった振りを作らず、お客様の要望に合わせて作るようにしてる。
あとはクオリティ。
他の会社よりはるかにすごいダンサーを使ってます。
EXILEのアシスタントとかヒルクライムのバックダンサーとか
そうゆうダンサーとかを使ってます。
中途半端な物を提供してない。
それが俺らの自信にもなってる。
史:僕たちは別にダンスもピカイチじゃないし、超有名な人のバックダンサーやってました!とかでもないです。
言ったら俺らはなにもしてないんだよね。
ただ繋げてるだけ。


新しい価値を一から作り続ける太田兄弟。
それぞれに「好きな言葉」を聞いてみた。
太田 史彦
「生かすも殺すも自分次第」
ー尊敬する先輩に言われた言葉で、直に感じた事です。
これはパフォーマーとしてもビジネスマンとしても一生根っこに持っておかないとなって思う。
とにかくチャレンジしなきゃね。
ほら、「見逃し三振より空振り三振」ってやつ笑
太田 知彦
「プロは金をもらっている人間の事じゃない。金を払ってでもその仕事をやってもらいたい人間の事を言うんだ。」
ー好きな言葉というか、常に思っている事でダンサーに伝えたい言葉なんですけど。
こう思ってもらえる存在になりたい。ならないといけないんです。
職業としてダンサーを成り立たせるにはもっと一般の人に必要とされる存在にならないと。
「ダンサーがもっと身近な存在になるために、じゃあどうするか?」
これをもっとダンサー自身は考えた方が良いのではないか。
なんか超上から目線みたいだけど、こう考えてます。笑
従来の「アンダーグラウンド」なダンサー文化のイメージを根本から変えようとする彼ら。
その行く手にはこれからも様々な障害があるかもしれない。
しかし持ち前のコンビネーションと彼らの周りにいる繋がりできっとその壁を超えていくだろう。
教育にも取り入られた「ダンス」
この文化が浸透した近い将来、サラリーマンと同じように「職業 ダンサー」と堂々と言える世の中がくるのかもしれない。
(2015.11.28 都内某所)
取材・ライター 鈴木 隆太

